気ままにボルダリング

勝手にボルダリング用語を書いたり、ジムの感想を書いたりします

三河島 13 足を置く位置

トラバース課題を除いて、ボルダリングが上に登る競技である以上、足は上げないと登れない。登れない、のだが。

 

足を上げすぎて登れない/次のホールドが取れない、ってことが、ままある。

初心者さんなんかを見てると、特に。足1コ下げたら取れた、なんてことも。

 

もちろん、人によってリーチは異なるので、自分がちょうど良いと思うフットホールドも、特に女子にとっては、高くて届かないとか、逆にその足だとゴールに届かないとか、そういうのもある。

 

足限定でなければ、ルートは千差万別なので、色々あっていい、のだけれど。

 

自分には、登っている人にルートを指示するセンスがない、と思う(笑)。

登れるんだけど、人に説明しようとすると、あれ、手が先だっけ足が先だっけ、となる。使ったホールドは覚えていても、手足の順序とか、体の向きとか、細かいテクニックとか、そういうものをうまく言語化できない。

自分のルートさえ、言葉だけでは説明できない(登れば示せる)のだから、自分とリーチもフィジカルも異なる相手には、余計に説明が下手、だと思う。

 

ところで、上級者の方とかジムのスタッフさんって、指示が上手いですよね。

体格の違う相手にも、そこに足を乗せる/足を切るとか、瞬時に説明できる。

で、何のために足を乗せるの?って、それは当然、ホールドを掴むため。

足を置くのは、足を置くこと自体が目的なのではなく、ホールドを掴むために、最適な位置に置く、ということが肝要。

これを踏まえて、足自由課題における、ホールドの種類別、足の位置を考えてみる。

 

・ガバ

掴みやすいホールドだけど、一番取りやすいのは、目の高さ〜真っ直ぐ手を伸ばした高さマイナス10cmくらいの間だと思う。ゴールとしても、そこから体を引き上げるとしても、なるべく肘が伸びた状態の方が、消耗しないし出来ることも多い。

→と、いうことは、足は上げすぎない方がよい。直立して、真っ直ぐ手を伸ばした先にガバがあるくらいが一番消耗しない。

 

・ガストン/ピンチ

ガストンは胸の前くらいがベストだと思う。高かったり低かったりするより、胸の前くらいが一番効く。ピンチも似たような感じだけど、ガストンよりはこころもち上で、目の高さくらいでもok。ビッグピンチの場合、胸〜目くらいの間だと、側対にして楽ができるかもしれない。

→これもやっぱり、このホールドを取ることだけに限定すれば、足は上げすぎない方がよい。

とばしでその先にガバがあるとかなら、上げてもよいかもしれないが、目一杯効かせるためには、胸〜目の高さ程度になるよう、足の置き場を調節する。

 

・アンダー

低いほど効く。現実的には、おへその前〜太ももの前くらいの高さか。フットホールド上でしゃがんで立ち上がれるなら、膝の高さくらいでもok。

→足は上げた方がよい。むしろ、足が低いとアンダー部分に手が入らない(上から持つ形になってしまう)ので、積極的に上げるべき。

 

・スローパー

これもガバ同様、足は上げない方がよい。肘を伸ばして、真下に引くのが基本なので、足が高いと肘が伸びない。

 

 と、いうことで、これだけ見ると、安定させるためには、意外と足って上げない方がいい、という感じなんですよね。

にも関わらず、「上に登らなければならないので、足は上げないといけない」。そうか、本質的に矛盾を抱えてるのか。

 

ならば、どのようにして足を上げるか。

ここからは細かいテクニックの話。

 

・大きなフットホールドに、ハイステップで乗り込む

パッと思い浮かんだのがこれ。いい位置にハイステップが決まれば、スラブなら両手を離せるくらいに効く。傾斜でも、手の力は最小限で済む。

こうなると、ガバもアンダーもスローパーも関係ないので、「もう片方の足を切って、乗り込む」ことさえできれば、たぶん登れる。

せっかくのハイステップも、反対の足が中途半端に残ったままだと、重心が完全に乗せられないので、結局手の力でホールドを引かざるを得なくなる。

ただ、こんな素敵なハイステップはそうそうない。

 

・ヒールで乗り込んで、反対の足はフラッギング

これも決まれば、ハイステップ並みに効くムーブ。ヒールで乗れるだけの大きさは必要だけど、握りこぶし大くらいのホールドなら、形状によってはいける。

ただ、全くもって初心者向きではないムーブ。

 

・ダイアゴナルの意識

と、いうことで、現実的にはこれに落ち着くと思います。

ダイアゴナルといっても、いわゆる振りをつかった大きなムーブから、小さなダイアゴナルまであります。

ここで書きたいのは小さなダイアゴナルの話。

初心者講習を受けたことがある人なら、「はしごを登るように登る」ってフレーズを聞いた方もいるかと思います。

右足→右手、左足→左手、ってやつですね。

右手→右足、左手→左足でもいいです。

「踏み込んだ方の足に対応する手で取りに行く」のが基本です。右足を踏み込んだなら、次のホールドは右手が基本。左足踏み込んだなら左手。

これ、その通りだなとは思ってたんですけど、今まで理屈が付いてきませんでした。で、ちょっと考えたみた。

 

右足を踏み込んで、右手で取りに行く瞬間。当然ながら、取りに行く前には、右手は空中にある。ホールドは保持していない。

じゃあホールドを保持しているのは?左手ですよね。

そうすると、右手がホールドを掴む前、体を支えているのは、「踏み込んだ右足+残した左手」のはずなんです。これって、立派な対角線=ダイアゴナルですよね。こういう、意識していないダイアゴナルを、便宜上「小さなダイアゴナル」とします。

 

これが、小さなダイアゴナルになっていないと、つまり、踏み込んだ右足+右手を残して、左手で取りに行く、となると、間違いなく振られます。手も足も右サイドにあるために、体の重心が右手〜右足間の縦棒に集中してしまい、回転して壁から離れてしまいます。

もちろん、中級以降ではこういう状況と戦わなければならないことはあって、そのためにヒールをかけたり、ホールドに乗ってない足をスメアしたり、手や足の向きをロックして耐えたり、とか色々あるのですが。

そういう、やむを得ない状況にない限りは、可能な限りこの小さなダイアゴナルを意識した方が、「足を上げる」というボルダリングにおける本質的矛盾を、和らげてくれるのではないか、ということです。

 

話が無駄に大きくなってきたので、この辺でやめます(笑)。

要するに、

・足を上げるべきタイミング

→安定させるだけなら、大抵のホールドでは上げない方がよい。安定してから上げること、が大事

 

・いかに足を上げるか

→足を上げると、効かなくなるホールドもあるもいうことを頭に入れる。次のホールドを取るまでの間、足を上げただけでは大抵不安定。ハイステップやヒールが厳しければ、せめて小さなダイアゴナルで。テクニックを駆使して耐える。

 

・なんのために足を上げるのか

→アンダーのホールドとハイステップその他を除いて、「安定させるため」ではない。 あくまでも「登るため」。

「登るためには足を上げるが、足を上げると安定しなくなることが多々ある」ということを記憶すること。